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10日 3回戦(甲子園) タイガース 1勝1分
勝:ウィリアムス 1勝 負:佐々木 2敗 S:
大魔神が登場したとき、誰もが「もしや・・・」と思ったはず。
2人倒れて「あ~ぁ・・・」とため息ついたはず。
2人走者が出て「まさか・・・」と感じたはず。
あれだけ満面笑顔の岡田監督を見たのは初めてかもしれない。
ありがとう、フジモン。
先発はタイガースが新人・能見、ベイスターズが2年目・吉川とフレッシュな対決。
前回、開幕3戦目のスワローズ戦で4回5失点と不本意な結果に終わった能見が汚名返上に燃える。
そのためにも、早い回に打線が援護して楽にしてあげたいところだが・・・
★☆一回表☆★

エッ、能見のフォームが変わってる?
セットポジションの状態から右脚を揚げて止める、その際に球を持つグラブの位置が顔の前あたりにあったのが、揚げた右脚でグラブを隠すようなフォームに変わってる(こちらの記事にある画像がそれまでのフォーム)!
う~ん・・・どういうことかいなと思ってたら、どうやら以前のフォームだと球種のクセがわかるらしいということだそうな。
シーズンに入ってこういうフォーム矯正はあまり好ましいことではないが、現フォームは社会人時代のものだそうで、それならばあまり影響はないと思われるが、実際バランスの面で違和感が出ないかかなり心配した。
力みもあったろうが、右脚を揚げたときにカカト体重になり、球が抜け気味になったりしたが何とか初回は3者凡退で片付ける。
特に金城から奪った空振り三振、最後のスライダーはキレがあったね。
☆★一回裏★☆
ベイ先発の吉川。
去年この甲子園でも先発したのを観たことあるが、ガラに似合わず変化球主体に制球よくまとめてくるタイプ。
特に真っ直ぐが速いわけでもなく、荒れ球という感じでもないのだが、なにか打ちにくそうだ。
フォーム的に球の出どころが見難いのかな?
★☆三回表☆★
先頭の内川に初被安打を左前に運ばれる。
次の相川にはボールが先行するが左飛に抑え、9番・吉川の犠打で二死二塁。
先頭の石井を迎えてストライク先行、2球でうまく追い込む。
ここからしぶとい石井だが三ゴロに打ち取り、最初のピンチを脱す。
☆★三回裏★☆
ルーキーのためにもそろそろ先取点のほしいタイガースだが、先頭の鳥谷が左前安打で出塁。
矢野も四球で歩いて無死一・二塁とまさに先制のチャンス。
ここで打席の能見の役割は観ている全ての者がわかる。
自分を楽にするためにもキッチリ犠打を決めねばならないところ。
しかし構えを見ていても実に苦しい雰囲気・・・。
何とかバットに当てるも捕手の目の前、三塁封殺で送れず。
その後赤星の中前打で満塁まで攻めるが、藤本が遊ゴロ併殺に倒れ無得点。
試合の展開を左右する重要な場面で送れなかったことによる必然的な流れ。
結果的に能見に白星がつかなかった最大の要因になってしまった。
投手は投げるだけが仕事ではない、というのをこれでちゃんと理解してくれることだろう。
☆★四回裏★☆
二死から今岡が中前打、スペンサーもしぶとく右前打で一・三塁とメークチャンス。
しかし、鳥谷が2球目を打って二ゴロ。
もう少しここはじっくりいってほしかったところ。
☆★五回裏★☆
先頭の矢野が右前打で出塁。
ここでも能見に打者としての仕事が回ってきた。
初球、ややおっかなびっくりにバットを出すとうまく投手の前に転がって送りバント成功。
何とかチャンスを広げて赤星以下のバットに期待する。
そして赤星が2球目の内角スライダーを叩き上げると、打球は右翼ポール際へ。
甲子園で初本塁打か?とも思われたが、フェンスの最上部に直撃する二塁打。
これでようやく能見に援護点・・・と思いきや、矢野が三本間で挟まれている。
なぜ?と思う間もなく矢野はタッチアウト、その間に赤星が何とか三塁へ進む。
矢野の様子が画面には映っていなかったが ―捕られるかどうか際どかったものの― 二・三塁間のハーフウェイで様子を見ていれば楽に生還できる当たり。
タッチアップに備えていたのだろうか・・・しかしこのケースでそれはないだろうに。
なんとも不可解な矢野の走塁で好機を逸す。
★☆六回表☆★
五回までで被安打1、6奪三振、無四球と前回登板とはうって変わって素晴らしい内容の能見。
点が入りそうで入らない見方の拙攻にもめげず、キッチリ自分のペースを守る。
真っ直ぐも変化球も低めに制球されており、前の回から数えてこの回の相川、吉川の代打・小池まで4者連続の空振三振。
石井琢に中前打を許すも、種田を難なく打ちとってこの回も無失点。
気持ちも乗っているのか、フォームにも躍動感が出てきた。
☆★六回裏★☆
膠着状態に陥りつつある試合。
えてしてこういうときは本塁打や守りのミスから流れをつかむ(渡す)もの。
期待の持てる3番・シーツからの攻撃だったが、この回から登板の加藤の前に簡単に二死。
今岡の左前打が出るも、スペンサーが一飛に終わる。
今年も加藤には苦労させられるのか・・・。
★☆七回表☆★
いよいよ七回までやってきた能見。
プロで何年もやってきている投手でも一番しんどいところだが、味方の援護がない中我慢の投球を続ける。
ここを乗り越えればさらなる自信につながるので何とか持ちこたえてほしいところ。
一死から佐伯に右前打、多村の右飛のあと村田にこの試合はじめての与四球で、二死一・二塁この試合最大のピンチ。
ここで打席にはオープン戦で一発を食らっている内川。
第1打席でも安打を許しているが、強気の姿勢は崩さない能見。
初球、2球目と外の真っ直ぐで簡単に追い込む。
3球目のスライダーを低めに叩きつけて矢野が少しはじく。
やはり疲れてきたか、より低く投げようとする意識が強いようだ。
4球目の低めに決まったチェンジアップも見極められ、カウント2-2。
5球目、これまた低めの真っ直ぐを内川がカット。
6球目、食い込んでくるスライダーに内川も食らいついてファールで逃げる。
見応えのある我慢比べ、能見の表情は変わらない。
そして7球目、渾身の真っ直ぐが外低めに放たれる。
内川のバットが出ない。
ミットに収まった瞬間、矢野と能見のバッテリーが球審のジェスチャーを見るまでもなく一塁ベンチへ足を向ける。
先発投手としての仕事は終わった。
あとは打線がそれに応えてあげるだけだ。
★☆七回裏☆★
下位打線からの攻撃、加藤の前にアッサリ2死。
能見の代打・桧山で場内盛り上がるが、空振三振。
残念ながら新人クンに白星をプレゼントできなかった。
それにしても加藤、ナイスピッチング。
★☆八回表☆★
この回からマウンドは藤川。
先頭の相川に左前打を打たれ、加藤の犠打で一死二塁のピンチ。
ここで石井琢を厳しい内角球を見せるケンカ投球も披露して投ゴロに抑え、種田もキレのある真っ直ぐで空振三振。
気迫ならオレも負けじと球児の快腕がうなる。
★☆八回裏☆★
ここで1点取れば勝機がグッと近づく。
その期待に応えるべく、赤星が3安打目となる左前打。
藤本が送ってクリーンナップを迎えるという筋書きを皆が描くも、赤星が初球スチールを失敗。
意気消沈しかけるが、藤本が諦めずに左前打でつなぐ。
そしてシーツがナイスアイデアの三前バント安打、今岡四球で二死満塁。
さぁ、スペンサーがヒーローになれるのか?
簡単に追い込まれるが、粘り強くフルカウントまで持ち込むスペンサー。
しかし最後のスライダーにバットが空を切る・・・天晴れ加藤の粘り勝ち。
八回まで10安打放つも、後もうひと押しがどうしても出来ない。
★☆九回表☆★
この回からジェフを投入。
この日まだ安打のなかった先頭の金城が右翼線へ運ぶ。
スペンサーの拙い守備もあったが記録は二塁打。
そして4番・佐伯に対し、外を狙った真っ直ぐがやや甘く入る。
そこを逃さずに左翼線へ適時二塁打。
ここに来てついに均衡破れ、重い1点が虎にのしかかる。
なおも続く多村の二ゴロの間に走者三進で一死三塁とピンチが続く。
次打者も怖い村田だが投ゴロでしのぎ、飛び出した三塁走者・野中を刺して二死二塁。
しかし、その挟殺プレーで野中がうまくタッチをかいくぐったように見えたが、主審の判定はアウト。
これに三塁側から牛島監督も猛抗議を行うが判定はもちろん変わらず。
もう1点入ると致命傷になっていただけに助かった判定。
何とか最小失点にとどめて最終回、大魔神を迎え撃つ。
★☆九回裏☆★
開幕2戦目の初登板でサヨナラ弾を浴びた大魔神・佐々木。
それを象徴するかのように、やはり打者を有無を言わせず牛耳る力はない。
何とか投球術でかわそうとする佐々木だが、鳥谷が一ゴロ、矢野も右中間に鋭い打球を放つが金城の好捕にあい右飛。
後のないタイガースは代打・町田を送る。
追い込まれながらも落ちきらないフォークを捕らえて左前打で今季初安打。
そして赤星も追い込まれたがフォークを捕らえて渋く中前に落とし、サヨナラの希望も抱かせる。
マウンドに向かう牛島監督。
直接佐々木に檄を飛ばし、最後を託す。
打席は藤本。
初球に赤星が走った、これで内野の間を抜ければサヨナラだ。
心なしか表情がこわばって見える大魔神から汗が滴り落ちる。
カウント1-2からの4球目、ヒーローの放った打球は前進守備のレフトの頭上を越える・・・
7回被安打2・奪三振9・与四球1・失点0。
勝ち星こそつかなかったが、新人離れした堂々たるマウンド裁き。
この日のように低目への制球を心がければ、いい結果を得られることが解っただろう。
能見の満開宣言はじきに訪れるはずだ。
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